同人誌作成上の注意点
二次創作と著作権
マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラクターを題材とした「二次創作作品」が同人誌の多くを占めていますが、原作の著作権者の許諾を得ず二次創作物を不特定多数へ販売することは著作権侵害の恐れがあります。
現状では二次創作活動は、ファン活動の延長線上にあるものとしてとらえられ、多くの場合で著作権者に黙認されています。
商業出版の世界と同人誌の世界の持ちつ持たれつの関係が長く続いたことにより、今や同人誌は日本におけるマンガ・アニメ隆盛の原動力の一つとなり、サブカルチャーの一分野を形成するまでに至りました。
最近では、著作権者の側で一定のガイドラインを設けた上で二次創作を認めるなど、「明示の許諾」に切り替える動きすらあります。また、現時点では著作権侵害は親告罪とされており、著作権者が告訴しない限り刑事責任を問えません。このことが著作権者による二次創作作品の黙認に一定の効果を与えています。
しかし二次創作作品は、著作権者に訴えられたら対抗できない「グレーゾーン」に位置しているということを認識しておいてください。
成人向け表現について
私たち同人誌の印刷会社は「表現の自由」を最大限尊重する立場で事業を続けております。
しかしながら、表現の自由が保障されているとはいえ、その表現が法令や公序良俗に違反することとなる場合はお手伝いすることができません。
刑法175条の「ワイセツ図画」については明文化された基準は存在せず、関係者の逮捕事例や裁判例を見ながら、主に「性器・結合部への修正を行う」ことで対応してきました。
しかし、その修正も当然ながら法的に「安全・明確」な基準が存在しない以上、常に「当局の判断」により逮捕、起訴される可能性をはらんでいるものであるという事実を改めて認識していただき、最新の状況をしっかりと把握されたうえで創作活動を行っていただくよう、重ねてお願いいたします。
「修正をどうしたらいいのか」ご相談いただくことがございますが、印刷会社の判断基準は「即売会の基準」「逮捕事例や裁判例」を参考にした運用上の基準でしかなく、発行を保証するものではありません。
基準を厳しくすると注文が減少し、緩やかにするとリスクが高まる。
つまり、同人誌の印刷会社は皆様とともにリスクを共有しているのです。